「果穂、お前あんまり幸四郎に心配ばかりかけるなよ?」
「へっ?」
稲葉先輩の言葉に私は首を傾げた。
稲葉先輩は真島課長の同期で、私の4年先輩だ。
それにしても幸四郎なんて人は私の知り合いにいない。
会ったこともない人間に迷惑のかけようがないじゃない…。
それでも、一緒に夕食を食べに来ていたみんなが、私の顔を見ながら頷くから
幸四郎という人間について質問してみることにした。
「あの…幸四郎さんって、どこのどなたでしょう…?」
聞いた私に全員が全員、目を見開いて「えっ⁈⁈」と驚いたから、逆に私も驚いて「えっ⁈」と聞き返してしまう状況だ。
なに?幸四郎さんって、そんな重要人物⁈
うちの会社の社長とか⁈
プチパニックな私に稲葉先輩は馬鹿を見るような目で見てくる。
「お前、自分の彼氏の名前も知らねーのかよ?」
彼氏⁈
彼氏って課長のこと⁈
課長って…
真島幸四郎さんなの⁈
名前が古いっ‼
ぷっと吹き出して笑った私に、稲葉先輩が呆れながら「笑い事じゃないぞ?彼氏の名前も知らなかったなんて重症だ…」と呟いた。


