誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜



「それでですね…課長…今夜なんですけど…」

そんな可愛い彼女が、もじもじと何かを話し始めた途端

ガチャリと開いたオフィスの扉から

川嶋達男共が出てきた。


「おう、果穂、まだ帰ってなかったのか?それなら皆で飯に行く予定だけど来るか?」


なんて

人様の彼女を軽く誘うんだこいつらは…。



少しくらいは気を使えよ…


まあ、でも果穂は俺の事を気にして、少しは遠慮するだろうが…。

「行く‼」と元気に答える彼女。


おいコラ!

ちょっと待て、さっき何か言いかけてなかったか?

俺と話しがしたいんじゃなかったのか?


「…何か言いたいことがあったんじゃないのか?」慌てて聞くと…


「なんでもないです!仕事、頑張って下さいね?」

さっきまでの、あの可愛らしいもじもじ感は全く消えていて

こっちがビックリだ。


「あ…ああ。」

「じゃあ、私はみんなと夕飯食べて帰りますから‼」

そう言って

男共の群れに混ざった彼女。


少しくらいは振り向けよ…


「あんまり飲むんじゃないぞ?」最後に声をかけると…

なんだろう…

あの異様な微笑み…






昔からだが、果穂という人間を深く考えようとすると出口のない迷路に入り込んでしまいそうになる…


すぐに気持ちを切り替えて

彼女の買ってきてくれたコンビニの袋の中を見ると…



ホットコーヒーの熱でアイスが溶けて、容器から漏れていた…


「普通は袋を別にしてもらうか…

こういう組み合わせではなかなか買ってこないもんだぞ?」

面と向かって注意をしたい気持ちを

なんとか抑えて

独り言で我慢した…。