彼女に渡したのは、別の営業所の事務のパートタイマーの契約書。
ペンを取り
名前を書いてる途中で、深く深呼吸した彼女は
すっと立ち上がると
契約書をビリビリと破り捨てゴミ箱に投げ入れた。
「果穂…さん?」
俺に背中を向けて涙を拭った彼女は、いつものように…
笑顔で振り返る。
「これ、会社から私へのせめてもの優しさですよね?」
「…そう…なるんですかね?」
「やっぱりお断りします。」
「でも、そしたら、果穂さん仕事を失ってしまうんですよ?」
慌てて聞いた俺に
彼女は小さく頷いた。
「事務のパートタイマーなんて…私に向きません。
やっぱり私は
外で汗水たらして
足が棒になるまで歩き回って…
それでも
営業が大好きだから
どこかでまた…探します。」
へへっと笑う彼女に頭が上がらない。
彼女は俺の何倍もこの仕事を大切にしている。
彼女は根っからの営業マンなんだ……。


