「そうだな…忘れ物に違いない。」


「何を…忘れたんですか?」



その質問の後、課長は暫らくの間黙って視線を流したまま何も答えないから



私も何も言えずに、ただ少し困っているような彼の顔を見つめていた。




顔を見てないのはたったの数日なのに


数ヶ月ぶりにその顔を見たような気分だ。


会いたかった

声が聞きたかった。



それが突然叶うなんて…


夢か幻を見てるような気分で


現実という実感が湧かない。


嬉しいはずなのに

驚きが先立ってて

話したいことがたくさんあったのに

言葉にもならない。