誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜



私の顔を見つめたまま、子犬王子は暫く呆然としていたけれど、その後でふわりとした優しい笑顔を浮かべた。



「なら、果穂さんのことはもっともっと大切に扱わなきゃ…ですね?」

「いや、そうじゃなくて…」



「ますます、惹かれてしまいました。」



ええいっ!


だから止めろっちゅーの!





困ったように視線を逸らす私に、新井課長は「タクシーを呼びますか?」と聞いてくれた。



困った子犬王子だけど、もしかしたら真島課長と同じくらい優しい人かもしれない。




「大丈夫、好きなように帰りますから」


そう言って課長の部屋を出て

振り返った瞬間

寮の廊下の向こう先で

私を見つけて固まった宮路と出くわした。




「あれ?宮路じゃん?」


軽く手を振りながら声をかけると、宮路はお酒を飲んだ帰りだったのか


赤かった顔を更に赤くさせて、ぷいっとそっぽを向いてしまった。


「なに?どうしたの?」