「だから、さっきからなんで俺を見てるんだよ!」
と、ボヤく課長に宮路が笑う。
「姐さんは彼氏さんに見惚れてただけですよねー?」なんて茶化すから
思わず私は人差し指を口の前で立てて「しーっっ‼」と言った。
なぜなら…
うちの会社は社内恋愛禁止なのですから…。
「でも、姐さんと課長のこと知らない人なんていないんじゃないですか?
誰も上の連中にチクる奴なんかいないっすよ」
それはそうかもしれないけど…
ちらっと課長の方を見ると
何も聞こえていないといった様子でパソコンと向き合っている。
「み、宮路も早く仕事済ませなよっ!」
「はーい」
静かなオフィスにカタカタカタカタ三人の奏でるタイプ音が鳴り響く。
その中で異常に緊張を張り詰めてるのはきっと、私だけだろう…。
ミッションを遂行するためには
真島課長の自宅に潜入しなくてはならない。
「真島課長の自宅に潜入?ってなんだよ?」
耳元で聞こえた同僚川嶋の声に
私はまたもや「ギャーッ」と悲鳴をあげた。
「な、なんだよ⁈」
「勝手に見ないでよ!てか、なんで宮路もあんたも私のパソコン画面を見るわけ⁈」
ひどく動揺した私が騒ぎたてると
やけに冷静な川嶋が
「いや、アポ何件とれたんかな?とおもって…」
と、呟いた。


