手元には今淹れたばかりのコーヒーが湯気をたてて待っていた。
「先生、今日は甘め?ブラック?」
「うーん、今日はたぶん徹夜だろうからブラックにするかなー」
「熱いから舌火傷しちゃわないようにね」
そう言って、カップをひとつ手渡した。
先生は猫舌だからアツアツのコーヒーはまだ飲めないだろう。
フーフーと息をかけるたび、湯気が面白そうに揺れていた。
「やっと敬語抜けてきたね」
「あ・・・確かに」
自分でも気づかなかった。いつからだろ
「相変わらず”先生”だけどね」
「あ・・・そういえば」
菊池ツカサという名前は知っていたけど、先生、先生って中学生の頃からそう呼んでいたからなかなか抜けそうにないかも・・・
「先生は何て呼ばれたい?ツカサ?ツーくん?ツカサさん?」
先生は斜め上を見ながらうーんとうなると
「なんだろ、名前で呼んでもらいたい気もあったけどやっぱり呼びなれてる先生が一番落ち着くのかも。ひよりは何て呼びたい?」
「私は・・・そうだなー。結婚するまでは先生でいいと・・・思う」
自分で言っておいてなんだけど、”結婚”というワードはやはり照れてしまう。
まだ付き合って2ヶ月なんだし結婚なんてまだまだ・・・
言ったことを後悔したわけじゃないけど、恥ずかしくて俯いた私に意地悪そうな声で先生が追い討ちをかける
「ひよりは気が早いなー、なんなら明日結婚しちゃおっか?」
先生にまた顔をのぞきこまれてますます顔が赤く熱くなってきた
「まっまだ早いです!そ、そういうのはもっとお互いをですね、よく知って・・・」
私の言葉をさえぎるかのように先生の唇が私の口を塞いだ。
一瞬のことでビックリして目が点になったけどそのまま身をゆだねることにした。
