今、私は先生と一線を越えようとしている
ベッドの下には2人分の服が散らばって置かれてて、月明かりでほんのりお互いの姿が確認できた
さっきまでレストランでじゃれ合うように話していたのに、うって変わって先生は真剣な表情をしていた
心の準備は出来ていたつもりだけど幸せな気持ちと恐怖で心臓が爆発しそうだ。
「キス 、してよっか」
「・・・はい」
私の不安を和らげるように、先生と何度もキスをした。
いつか雑誌の特集でみたとおり、”初めて”って本当に痛い
でも痛いはずなのに幸せの方が大きくて、この痛みさえ愛おしく思えてくる
今、私幸せで満たされてる。
「まだ1ヶ月なのにって思われちゃうかもしれないけど・・・よかったら」
そう言って先生は枕の下から小さな箱を取り出した
蓋を開けて中身を見せてくれると、指輪が2つ並べて入っていた
私が言葉を失っていると右手を取り、指輪を薬指にはめてくれた。
月明かりで光るその指輪はとても綺麗で、私には勿体無いくらいだ
見てたら何故か涙が出てきて、あっという間に指輪が歪んでしまった。
私の頭を撫でながら
「ひよりを誘拐しちゃったお詫びに・・・っていうのは冗談だけど、これからも宜しくって意味で買ったんだ。
左手の薬指にはめる指輪はその時がきたらまたこうやってプレゼントするから楽しみにしてて」
「私・・・誘拐されてよかったです」
「うん、誘拐してよかった」
時折みせる優しくて意地悪そうなこの顔が好き。
好き。全部好き。