悪い人【完】



「お疲れ様でした!」


仕事終わりだというのに、私の声は明るく元気だった。

なぜなら今日は特別な日、先生と恋人になって1ヶ月が経ったのだ
なので仕事終わりに先生と待ち合わせして、レストランでお祝いしようってなってる。


ドラマでよく観るあのワンシーンが目に浮かぶ


先生が選んだお店だから、どんな所か分からないけど今日は精一杯オシャレした

大人っぽいワンピースに慣れないけど少し高めのヒール、髪とメイクはさっきトイレで直したばかり


先生がこの姿を見たらどんなリアクションをするだろう。さっきから顔がゆるみっぱなしだ



そんな私を見て一瞬驚いたような顔をした店長が

「お疲れ様、今日はこれからどっかいくの?珍しいね」

と声をかけた。


私は変わらぬテンションで「はい!」と応えた。


まだ店長に先生のことは話していないけど、喜んでくれるだろうか

また落ち着いたときにでもゆっくり報告しよう。



いつものように店長が裏口まで送ってくれた。

「慣れないヒール履いてるんだから、うっかり転ばないようにね」

「はい、いってきます!」

「いってらっしゃい」



店長に頭を下げて裏口を開けると



「お疲れ様、待てなくてここまできちゃった」

いつもの雰囲気とは少し違う先生が立っていた。