「ひよりちゃん、それ終わったら新刊並べといてもらえるかな?」
「はい、今作ってるポップが出来次第一緒に並べますね」
「もうポップも作ってくれたんだ、ありがとう」
そう言うと店長はレジに戻って行った。
新しい単行本が出た時には必ず前評判やコメントなどを載せてお客さんの目をひかせるポップ作り、最初はろくにパソコンも触れなかった私が今は慣れた手つきで作業出来ている
よく職場の人間関係がうまくいかなくて~・・・なんて聞くけど私は恵まれている。
中学生の頃から決めていたこの書店に就職できたことに、
なにより店長である伊勢谷さんには心から感謝しているのだ。
ポップ作りが一段落してレジ横のパソコンに難しそうな顔を向けている店長を見て、そろそろコーヒーを淹れる時間だと思った。
いつも店長がパソコンとにらめっこを始めるとコーヒーを出す、すると優しい笑顔で「ちょうど休憩しようと思ってたんだ、ありがとう」っていうのがいつもの流れになってる。
コーヒーの美味しい淹れ方も、1つ1つ丁寧に教えてくれたのも店長だった。
淹れたてのコーヒーをそっと机に置くと難しそうな顔から一転して「ちょうど休憩しようと思ってたんだ、ありがとう」といつもの優しい笑顔で振り向いてくれた。
