悪い人【完】



そう聞かれて戸惑ってしまった。


仕事のことはひと段落ついたし、ここに越してくるのも問題ない、あるとしたら・・・


「もう悪い事はしないでください・・・」

うつむきながらぼそっと言うと
ちゃんと聞いていたのか、私の頭にポンと手をおいて

「ひよりと出会わなかったらもっと良い人でいられたのに」

と意地悪そうに言って

「もうしないよ」と付け足した。


他には?と聞かれて首を横にふると時計を見た先生が
「もう3時過ぎてる、寝なきゃ明日しんどいね」と言ってコーヒーカップを手に取り立ち上がった



どうしたんだろう、急に胸がきゅっと締め付けられるようなそんな感覚が・・・

無意識に手がのびて部屋を出ようとする先生の服の裾を掴んで引き止めた


ゆっくりと振り返る先生と目が合って私は言葉を失ってしまった。




かわりに先生の腕が私を引き寄せて、強く抱きしめられた。