「ずっと見てたんだ、それぐらい分かるよ。」
ずっと見てた・・・私を?
「最初は仕事上あの本屋に通ってたんだ、でもいつしか君に会いにいくためににもなってた」
私に、会いに・・・?
「最初に君を見たのはいつかな・・・もう何年も前のことになるけど・・・本を嬉しそうに手に持つ君を好きになってた」
私は文字通り開いた口がふさがらなくなっていてぽかんと先生の言葉を聞き続けた。
「そしたらいつの間にか学生服姿だった君はあの本屋で働いていて、その隣にーーー・・・」
あ、さっき私が見たあの一瞬の冷たい表情は気のせいではなかったんだ。
今まさに先生の表情は冷たく、そしてどこか悲しげな表情に変わっていた
「きっと君は伊勢谷さんとって思ったら・・・苦しくて・・・辛くてっ・・・」
次の言葉を発する直前に、私はそれをさえぎるように先生の口を両手で塞いだ。
これ以上悲しませてはいけない気がしたから
ううん、悲しませたくなかったから。
相変わらず涙は止まらないし、うまく話せるか不安だけど、きちんと伝えなきゃいけないと思ったんだ
「私もずっと見ていたんですよ・・・先生。」
