そしてそれからお父さんは帰ってくるのがずっと遅かった。



それでもお母さんは毎日待っていて。




僕は泣きそうになっていた。





どうしてそんなクズに尽くすの?



どうしてそこまでして待つの?





分からない。


お母さんの考えることが分からない。





…ほら、今だって、こんなに痛いことされてんのに。



「なんでよ…お母さん」

「…ふ、…青空、もう忘れたの?」

「え…」

お母さんは一枚の紙を取り出して。


僕に見せた。









「…あ…」









それは、僕が幼い頃に描いた家族。










僕達だった。










「…っ、覚えてるよ…っ、でも、もういいでしょ!?お母さん、このままじゃ、どうなるか…」

「それでも待つの」

「…っ、どうして…!!」










「お母さんね、こんなあの人でも










大好きなのよ」











お母さんの笑顔を見たのは、これで最後。










その次の日、息をしていないお母さんがいた。