偽りのシンデレラ




ファミレスを出た後、私はユリに電話をした。



「もしもし、ユリ?ちゃんと話はつけといたよ。」



『そう。ご苦労。』



「ホント、人使い荒いんだから。原くん、怪しんでたわよ。前はあんなに激怒したのに急にクリーニング代払わなくていいとか言うから。」



『はぁ?六万ごときに何言ってるの、あいつ。まあいいわ、私は今エステしてるから、もう切るわよ。』



そう言って一方的に電話を切るユリ。



流石女王様。



そんなユリに呆れてると、黒いスポーツカーがすぐ前に止まった。



「やあ、紫緒ちゃん。ちょっと乗ってかない?」



助手席に乗っていたのはルイくんだった。



なんでルイくんが私を誘うわけ?



「遠慮するわ。」


笑顔で断るけど、ルイ君は車から出て、私の腕を取った。



「まあまあ、そう言わずに!」



ルイ君はそう言うとグイっと私を引き寄せて、



「ちょっと話したいことがあるんだよね、紫緒ちゃんのことで。」


耳元でそうつぶやいた。



彼を見るとまだあの嘘っぽい笑顔で、仕方なく車に乗った。