偽りのシンデレラ



唯斗くんの言う通り、いいじゃない。って思うけど、原くんがそう言うのもわかる。



なんか裏がある、って思ってるんだろう。


「クリーニング代、いくらなんですか?」


女の子がここに来てから初めて口をきく。


原くんは財布を出して、クリーニング代を払おうとしてる。



払えるわけないのに。


「六万円だよ。」


私がそう言うと、目を見開いて



「「「六万?!」」」


見事にハモった三人。


「は?!クリーニングに六万なんてかかるわけねーだろ!」



そう思うよね。


でもね、違うんだよ。


「原くん。ユリの着てたワンピースはね、デザイナーに特注させてつくらせた一点もので、30万くらいわするの。それとあのバッグは世界的に有名なブランドのバッグで、30万、下手したら40万するわ。それをクリーニングするんだから、六万くらいは普通よ。」


微笑みながら喋る私に、信じられない、という顔で聞く三人。



「だからこの話はこれで終わり。」



話をややこしくしないためにも、ここで話を終わらせた方がいい。



「私もそろそろ行くから。じゃあ、また。」



というわけで、私はカフェを後にした。