「近づくなって言われても私は近づくよ」


「なっ」


近づかない理由がないもの。


例えあったとしても、それは私には関係ない。


「いつも助けてもらってるから。今度は私の番だから」


自己満足でしかない。


だけど、それで紅稀くんが助かるんだから安いものでしょ?


それにきっと、羽兎先輩もこうなることを望んでいる。


だからこそ、あの手紙を私に渡したんだ。


「っ…知られたくなかった」


悲しそうな顔をする紅稀くんの頬を撫でる。


知られて私が離れて行くとでも思った?


でもごめんね?


私は怖がりだから。


吸血鬼騒動がなくなるまではあなたから離れない。