「っ!紅稀くん?!」


中には心臓あたりを抑え、倒れている紅稀くんの姿が。


顔色もやばい…っ。


青白いどころじゃないよ!


紅い瞳もいつもより光り、いつもはない牙も今は伸びている。


その姿はまさしく…吸血鬼。


初めて見る姿に、胸が苦しくなる。


いつも満月の日は1人で耐えてきたんだっ。


でももう大丈夫。


これからは私がいるから。


ゆっくりと、紅稀くんに近づく。


吸血鬼だけど、紅稀くんだから怖くない。


だって。


「近づくなっ」


紅稀くんは優しいから。


辛いのは自分なのに、私の心配をしてくれる。


だから怖くないよ。