子ども達も成長し、ある程度の年齢になれば性別が安定する。


 だが、性の安定と同時に子どもを産むことができなくなるのだ。

 メグミも今16だが、今までに一人娘を生んでいる。

 子どもは国が引き取り、性別が安定した夫婦のもとに機械的に送られる。


 なので、メグミも両親とは血がつながっていない。

 そう、世の中は血を受け継ぐなんて悠長な事がいえなくなっている。

 人という生物を世界に遺すことに、ただただ、必死なのだ。


 メグミは、鏡の前でもう一度自分の体を確認し、服を羽織る。

 そして、ベッドの中にもぐりこんだ。


 前まで外の外気で寒かった部屋は、徐々にやわらいだ温度に変わっていた。


 もうすぐ、春が来る。