去年の春は、メグミは女だった。
だが、同じ年の秋、女から未分化の体に戻ってから、身長が急激に伸び、いくら食べても空腹に追いつかず、丸みを帯びた体が直線的に徐々に変異している。
「アキラとは、今年別れなくちゃな」
メグミは去年の夏から付き合っている恋人の名をつぶやいた。
嫌いなわけではない。
ただ、おそらくアキラも春には男に変異するだろう。
男同士では性交は行なえない。
食。性。睡眠。
その三大欲のひとつの処理の為だけに、子ども達は付き合うのではない。
変異した子ども達に、性別が安定した大人たちはひとつの義務を子ども達に押し付けたのだ。
それは、子孫を残すこと。
恋をする余裕は、ないのだ。


