誰にも知られない、語られない話


面倒を見ろと言われても……。

「だーぅ!あー!」

こんな小さな人間を育てられるわけない。

僕はもう何人も赤ちゃんを見てきたけど、未だに赤ちゃんの扱いには慣れていなかった。

お母さんはよく赤ちゃんを連れてくるものだから、赤ちゃんを見てもあまり驚くことはない。

でも、僕は赤ちゃんを育てなくちゃいけない。

お母さんから言われたから、もう、命をお父さんに壊されないように。

お父さんにも内緒で、見つかったらまた壊されちゃう…。

僕はお母さんが帰ってくるまで、暑い部屋で赤ちゃんの世話をした。

お母さんが帰ってきたのはそれから数時間後のことだった。