誰にも知られない、語られない話


お母さんは今月の頭から家に居なかった。

どっかに止まりに行っているようだ。

そして、数ヶ月の後、お母さんが帰ってきた。

それは、僕が餓死する寸前のことだった。

食べるものがなくなって、廊下に倒れていた。

すると、手にぐるぐる巻の布を手にしたお母さんが帰ってきた。

何かの音。泣き声?がそこから聞こえる。

「…おい」

「はい。お母さん」

お母さんはその布を床に置いた。

「そいつの面倒を見ろ」

そう言うとお母さんはいくらかお金を置いてまた出かけていってしまった。

「……?」

「あぅー」

床の上の布は生き物。赤ちゃんだった。