誰にも知られない、語られない話


「…ぁー……に……ぃー……」

弱々しい声で、弟が初めて喋った。

「ぁ…あぁ……そう……だよ……おにいちゃんだよ」

ゆっくりと手を伸ばし、弟を抱きしめる。

お父さんは、いつの間にか居なくなっていた。

僕は弟を抱きしめながら泣いた。

とても痛かったけど、それ以上に、僕の努力が報われた事の方が嬉しかった。

僕は、生きていく。

僕の大切な弟を守るために。

たとえどんなことがあろうとも、弟を守っていくと決めた。




僕はこれからも、この地獄のような家で、弟を守るべく戦い続けるのだ。