誰にも知られない、語られない話


お母さんが帰ってきたので僕は手早く用事を済ませた。

諸々の許可をもらい、僕の何度目かの子育てが始まった。

クーラーをつけ、できるだけ快適に。

粉ミルクやらおむつやらを買い揃えてできるだけ泣かせないように。

お母さんのストレス発散にもつきあい、子育てもする。

さらに、お父さんからその存在を隠す。

幼い僕にはとても過酷なことだった。

だけど、僕は小さな命のために一生懸命頑張った。

その努力が報われたのか、赤ちゃんはすくすく育っていった。

僕はそれがとても嬉しかった。