カーテンコールが鳴り響く。拍手は無い。

観客はいない。監督も、大道具係も、脚本家もいない。

いるのは役者達。あるのはたくさんの本。

ここは一体どこなのか。それを知ることは大したことではない。知らなくてもいいくらいだ。

重要なのは場所や、脚本や、監督や、観客のことではない。

今、一番重要なのはこれから話す、役者たちが語らなければ決して知られることもない話だ。

舞台に、一人の役者が現れる。舞台中央の机と椅子に座り、本を開いた。

そして、モノガタリが静かに始まる。