彼女の名前は「星川ゆう」
先ほども言ったが、事故で亡くなったはずの元隣人である。
僕がアパートに帰ってきた時には既にこの部屋にとり憑いていた。
当時の僕は事故のことをまだ知らず、彼女が勝手に部屋に上がり込んだだけだと思っていた。
なのですぐに、何故僕の部屋に星川さんが居るのかということの説明を求めたのだが、その時の彼女の答えは
「えーっとね…実は私ね、事故に遭って死んじゃったんだ!」
死亡事故の被害者から事故のことを聞かされるなんて、当然今までにそんな経験は無かったし、これかも恐らく無いだろう。
当たり前だが、初めは信じなかった。
しかし、彼女を部屋の外に連れ出す為に腕を掴もうとしたとき、僕は彼女の話を信じざるをえないことになった。
腕を掴めなかったのだ。
僕の手は彼女の腕をすり抜け
ただほんのりと冷たい空気に触れただけだった。
「あはは…信じてくれた…かな?」
そして、僕と星川さん(霊体)の同居生活が始まってしまった。


