自分が何番なのか分からなかった。
母さんに聞こうとしたが、同じ恐怖に駆られているであろう母さんに聞くことはできなかった。
暗闇の中、自分の腕を掴まれる瞬間を、俺はただひたすら震えながら待ち続けていた。
「ーーー次は16番!こいつは顔がいいですよ!
母の手一つで息子を育てていたということもあり、なかなか使える奴でもあります!」
ビクッ!
奴隷売りの声を聞いた途端、俺は心臓が大きく波打つのを感じた。
『母の手』
『息子』
耳に入ってきた言葉が、紛れもなく母さんを示していたからだ。
ーーーギュウ…
「……っ」
ふと母さんが俺の手を強く握った。
汗ばみ、震えが止まらないその手は、俺を離したくないという想いを嫌というほど伝えてきた。
ーーー母さん…
「1500だ!」
「1700出そう!」
「2000!」
次々と上がっていく値段に、俺はただ頭が真っ白になるばかりだった。


