ーーーそんな母さんとの別れは、ある日唐突に訪れた。
「ーーーおい!外に出ろ!」
地響きのように低い奴隷売りの声で、中に入っていた奴隷たちは一斉に外へ出された。
ーーー奴隷町だった。
何が起こっているか分からなかった俺は、つまずきながらもとりあえず母さんの腕に捕まっていた。
そして立たされたのはーーー横長の台の上。
母さんの手を握りしめながら、俺はとにかく体の震えを止めることができなかった。
そしてふと聞こえてきた大勢の人間の声に、耳がピクッと反応した。
「13番!500だ!」
「550!!」
次々と叫ばれる番号と金額。
幼かった俺は、このとき何が起きているのかまったく分からなかった。
「1120以上のお方はいらっしゃいませんか?
ーーーいなければ決まりだ!」
奴隷売りは俺の前を通り過ぎていくと、隣に
立っていたと思われる人間の前で止まった。
「……ちっ…そこそこの値だな。
まあいいさ、お前の価値はそれくらいのものだってことだ」
ガチャガチャと枷を外す音。
俺が横を向いた瞬間にはもう、隣の人間は奴隷売りに連れて行かれていた。
ーーー俺はこのとき理解した。
いや、全てを理解しているわけではなかったが、どうなるかくらいは分かった。
ーーー選ばれれば連れて行かれる。
自分相応の値段をつけられ、買われる。
息が荒くなっていくのを感じた。


