ーーーガイドンは俺が経営する靴屋のすぐ近くに住んでいる男だ。



髭は剃らない、体は洗わない、服は着替えないーーー



そんなガイドンの臭いといったら……もうたまったもんじゃない。



誰にも相手にしてもらえないガイドンに少しだけ同情してしまったのか……


俺はこいつの靴の修理だけは受け持ってやっている。




どんなにキツイ臭いでも、靴を綺麗にしとけばそれなりに礼儀も出る。




街角の小さな靴屋でも、それくらいのことはしてやれるだろうーーー






「靴って案外噛みやすいんですよジョンさん!
ジョンさんもやってみたらどうですか!?
絶対にハマりますよ!!」



「やってみないし、絶対にハマらない」




俺は鼻をつまみながらガイドンの靴を脱がせると、そのまま修理に取り掛かった。