「ーーー私は、父である鷹目が…
どういう人物なのか知らない」




小さな声でニカはそう呟いた。






ーーーたしかにそうだ。



鷹目はニカが生まれた年に死んだんだ。




知るわけがない、鷹目のことをーーー



怖いわけがない、話をすることがーーー







「でも……私は行くぞ」



「……っ!」



「前へ進むには、恐怖に打ち勝たねばならないからな。ーーー違うか?兎」



「………」







ニカは時々、すごい言葉を口にする。





6歳とは到底思えないような大人びた、


そしてーー


『鷹目』が口にするような言葉ーーー







「ふっ、そうだな、ニカ」






俺はニカをーーー見た。



今のニカの顔がどんなに凛々しいか、見たかったんだ。





「決まりですかぁ?ジョンさん!」







きっとーーー



まっすぐに前を向いているはずだ。








「ーーーああ、決まりだ」












鷹目、これはお前が残したものかーーー?














「分かりやした!じゃあ俺が案内します!」




「…っ!…いいのか!?」




「もちろんですよ!」




ガイドンは俺の両手をギュッと握った。




「ジョンさんには本当に救われてきやしたんです!ーーー恩返しさせてください!!」