『はい!』
『あっ!』
ポン…
いきなり投げられた真っ赤なリンゴは、俺の手の中に入った。
ドックン、ドックン…
鼓動は鳴り続けている。
『鷹目…これは……』
『クイズの景品だよ。見事大正解だったからね』
『っ…!』
『ははっ!』
鷹目は思い切り口角を上げて笑うと、両ポケットに手を入れた。
『兎ちゃん』
ーーーそれ、大事に持ってるんだよ。
『え……』
俺は手の中を見つめた。
人肌のように温かく、そしてーーー
俺に『生きろ』と訴えかけてくるような生命力を放っているリンゴ。
『よし、じゃあ俺はそろそろ行くよ!』
『…あっ』
俺は顔を上げた。
鷹目は相変わらずの悪戯っぽい顔で微笑んでいる。
『黒犬にガーリックトーストを食べさせなくちゃいけなくってね。あんな美味しいものを食わずに死ぬなんて本当にバカだよ』
『…え?死んだ!?』
『あっ……まあまあまあ!!』