「どうしてそれを盗んできたんだい?」
薬を塗りながらハカゼは訊いてきた。
ハカゼは人の心が読める。
きっと全てお見通しなんだろう。
「ふほいふひふぁふぇふふぁへふぁ(くろいぬにあげるためだ)」
ハカゼはにっこり笑った。
「へぇ、そうなんだねぇ」
独特の薬の匂いが部屋中に充満するーーー。
「ふぁひふぁふぁふぁひっほ、ほへふぁひふぁほんふぁふぃへんふぁほひへほ、ほんふぁひふぁふぁへふぁふぁへひふぁっへほ、へっふぁひひひひふぁふぁひんふぁ。ほへふぁ、ほへふぁひほひふぁふぁへふぁふぁふぁ。
(神様はきっと、俺たちがどんなに喧嘩をしても、どんなに離れ離れになっても、絶対に引き離さないんだ。それが、俺たちの幸せだから)」
俺は脱臼した右肩を無理やり動かし、テーブルに立てかけたステッキを手にとった。


