相棒の世界




***



兎の消えそうな言葉を聞きながら、俺はその場で硬直していた。




……え?



記憶を見ろ…だって?



なんだ、それ……




「撃…て……黒犬……」




兎はまだブツブツとその言葉を繰り返している。



こいつは…正気なのか?





「黒……犬……」




兎の体から流れる血は、俺の靴にまで及んで来た。



こいつ、こんだけ血を流しているのに…



まだ死んでないのかよ…。












『あれは俺たちのためにあるんだ』



「っ!」



ふとあの頃の記憶が蘇ってきた。



シルクハットとステッキは鷹目と俺のためにある。



そう言って笑いながら帰っていった日々。







鷹目、俺はーーー



俺の知らない鷹目を知るべきなのか?




お前、本当は俺のこと…



どう思ってたんだ…?





兎の手元にあるステッキを見つめる。




あの頃の俺がずっと憧れていたーーー



持ち手が犬の形のステッキが今



ーーーそこにある。