ーーーどのくらい歩いただろうか。
やはり暗闇の中を一人で歩くと時間感覚もおかしくなってくる。
ジャリッ
「ん?」
急に足元が土から砂利へと変わり、俺は足を止めた。
ここが…突き当たりか?
すぐ近くに泉があるといけないと思い、ステッキを使って慎重に前へと進む。
するとーーー
ポチャンッ…
ポチャンッ…
優しい雫の音が耳に入ってきた。
『こっち……』
「っ?」
透き通るような声が聞こえ耳をすませる。
『こっちよ……早く来て……』
精霊か何かの声か?
いや、違うな。
これはーーー魂の声だ。
「着いたな」
その場に立ったまま目を開けた。
きっとこの真ん前に泉が広がっているはずだ。
記憶を蘇らせ、命を吸い取ると言われる
記憶の泉。