ーーー全てを話し終わると、シーナはひと段落したといった様子でフゥと息を吐いた。
しかしその吐息は震えていた。
「長くなってすまんな、外に客が来ているみたいだ」
そう言って扉に向かうシーナ。
扉が開くと、そこからは荒ぶった呼吸が聞こえてきた。
「ハァ…ハァ…アルバートさん…」
「ガイドン…」
やっと安心できたような気がした。
いつもそばにいてくれたガイドンの声は、俺の余計な肩の力を抜いてくれる。
「お前が鼠か。昔、鷹目からよくお前の話を聞いていた」
「あはは、そうなんですか。俺は全然聞かされていませんでしたよ、シーナさんのこと。でも一応これでもスパイだったもんで、聞かずともあなたの存在は知っていました」
シーナはガイドンを中に入れると、俺の隣に座らせた。
「アルバートさん、これ落し物です」
そう言って手に握らされたのは、ステッキとシルクハット。
ガイドンは本当に気がきく。
「ありがとうガイドン」
「いえいえ」