私たちが入った南の町は、以前住んでいたところよりも穏やかな場所だった。
なにより人の目が温かい。
「いい場所だろ?」
「ああ、いいところだな」
鷹目は事前に手に入れておいた古いレンガの建築物に私を連れてくると、そのうちの部屋の一部に案内した。
「ここが新しい家だよ、シーナ」
「わぁ…」
暗い部屋の中に窓から差し込む太陽の光。
床に映る光がなんとも幻想的に思えた。
「仕事の合間に必ず会いに来る。
待っててくれ、シーナ」
俺は絶対にーーー
帰ってくるから。
「…うん」
ーーー待っているよ、鷹目。
それから私たちは南町での新しい生活をスタートさせた。
盲目の兎を気遣い、鷹目はなるべく彼のそばにいた。
そして仕事がすべて終わり、兎が眠りについたときーーー
「ただいま、シーナ」
「おかえり、鷹目」
鷹目はいつも私のところに来てくれた。
私もずっと部屋に閉じこもっているわけにもいかず、フードマントを被ってはこっそり町に買い物をしにいったり、鷹目の破れた服を治したりもした。
鷹目は何年経っても私に愛情を注いでくれた。
この幸せが続けばいい。
窓の外を見て鷹目の姿を思いながら、私はそう思っていた。


