兎と鷹目が町を出発して一ヶ月後、彼は約束通り私を迎えに来てくれた。
「お待たせ、行こうか!」
「うん…」
どうやら北の森を抜けて南の町に行くのにはずいぶんと時間がかかるようだった。
鷹目はそれを一ヶ月というなんとも短い時間で往復してきたのだ。
「やっぱり兎はすごいな、あいつがいたから南町まですぐに行けたよ。兎は300mも飛ぶんだ。シーナにも見せてやりたいな、空から見たこの町の景色を」
鷹目は旅の間、私に兎の話ばかりしていた。
相当気に入ってしまったんだなと思った。
戦う上で効率がいいという理由だけではなかったと思う。
きっと鷹目は兎を『人』として好きになっているのだ。
「よかったな、鷹目。最近のお前はいつも笑っている」
目尻にしわを作って嬉しそうに笑っていたおじさんの姿を思い出す。
一つだけずっと気になっていることがあった。
おじさんはーーー
誰かに殺されたのか?
「そうか?それは俺も嬉しいよ」
鷹目はさらにニコニコしながらそう言った。
だから余計、私の疑問をぶつけることはできなかった。


