「なんのことだ」
私がそう言うと、女性はまた驚いたような顔をした。
そして私を指差しながら、隣の人にヒソヒソと何かを話し始める。
まったく、イライラするやつらだな。
口をギュッと結んだところで、女性がまた私に目を向けた。
「あんた、なーんも分かってないの?」
「え?」
なんも分かってない?
分かってないのはそっちだろ。
「イーグルは国一の有名な殺し屋だよ。自分の娘にずっと嘘ついていたってのかいあいつは」
「えっ?」
おじさんがーーー有名な殺し屋?
頭が真っ白になった。
雨の音が小さく聞こえる。
嘘だ。嘘だそんなの。
おじさんは私に嘘をついたりなんてしない。
「さすが嫌われもののやることだよ。政府から認められた殺し屋だからっていい気になりやがってさ!好き勝手し放題じゃないか!第一、どうしてあの暴れん坊のガキを自分の子にしたかね!本当に頭がおかしいよイーグルは!」
目の前から散々なほど聞こえてくるおじさんの愚痴に、私は拳をギュッと握りしめた。
おじさんは、おじさんはーーー
そんな嫌われるような人じゃない。
絶対に。


