***
「シーナ、こっちにおいで」
おじさんが遠くから私を呼ぶ。
私は一回頷くと、彼の元へと走っていった。
「ほら、手をつないで」
「………」
「はは、そんなに嫌なのかい。
俺と手を繋ぐのが」
「………」
おじさんと手を繋ぐのは嫌いじゃない。
だけどーーー
すごく恥ずかしい。
「ほら…」
ギュッ
おじさんは私の手を握ると、優しく微笑んだ。
「あ……」
銀色の長髪に、突き出たほほ骨。
二重の大きな目は微笑んでいるせいか、目尻にシワができている。
「帰ろう、シーナ」
「…うん」
おじさんの手は大きくて、ゴツゴツしていて、すごく温かい。
そんな彼の手に触れている時が、私は一番安心できる。