シーナの家は案外すぐ近くにあった。
話によれば、彼女はたびたび名前をかえては地下に作った小さな家に隠れるようにして暮らしているらしい。
シーナには聞きたいことがたくさんあった。
俺が知らない鷹目のことや、どうして身を隠しているのかということ。
そしてーーー
どうしてニカを孤児院に預けたのか、ということーーー。
すぐにでも訊いてしまいたい気分だったが、俺はあえて家に着くまでは口を開かなかった。
ちゃんとシーナと向き合って話したかったのだ。
ーーー地下に続く階段を降りていくと、シーナはふと立ち止まった。
カチャ、と音がして扉の鍵が解除される。
「ーーー入れ」
扉の奥に入ると、ひんやりと冷たい空気が肌に触れた。
日中の日差しを全く受けないこの場所は、空気が冷たいままなのだろう。
ーーーバサッ
シーナはベッドらしきものにミラを下ろすと、しばらく彼女の看病をしていた。
「…これで大丈夫だ」
看病が終わると、ようやくシーナは俺に声をかけた。
「すぐ近くに椅子があるからそれに座れ」
俺は手探りで椅子の場所を突き止めると、そこにゆっくりと腰をかけた。


