するとーーー
「シルブ、ちょっとここで待ってな」
「え?」
ハカゼは俺の頭をポンポンと2回叩くと、ゆっくりと少年のもとへと近づいていった。
そしてーーー
ギュッ……
「っ!!」
暴れ狂う少年を胸に抱き寄せた。
少年は真っ赤に充血した目を大きく開いたまま固まっていた。
口は丸く開いたまま動かない。
「ーーー辛かったんだねぇ…」
「っ!」
ハカゼの言葉に少年はさらに目を大きくした。
「いいさ、いくらでも暴れろ…
こーんな狭くて何にもない家でよければねぇ。
あんたはなーんにも悪くない。
なーんにも悪くないんだぁ…」
「っ!!」
少年の真っ赤な瞳にーーー
一瞬にして涙が溜まった。
そしてーーー
「…グスッ…うう…グスッ……」
眉を寄せて、歯を食いしばって、鼻水を垂らしながらーーー
静かに泣き始めた。
「いいんだ、たくさん泣け…
今まで本当に辛い思いをしてきたんだ…
たーくさん泣けぇ…」
「…グスッ…うああああ!!!」
俺はその時、なぜハカゼがそう言っているのか分からなかった。
しかし時間が経ち、ハカゼが持つ力を知ってからようやくその時の言葉の意味が理解できた。
ハカゼは少年の心を読んでーーー
苦しみを痛いほどに理解していたのだ。


