ーーーハカゼの家を出てから3時間ほど経過しただろうか。
俺たちはようやく集落に到着した。
「近いといっても…そこまで近い距離ではなかったな…」
「この広い森の中ではってことですね…」
俺たちは集落の門を抜けると、途端に聞こえてくる賑わい声の中を歩いていった。
この集落のどこかにーーー
シーナという女がいるはずなんだが…
「兎…」
「なんだ」
ーーーギュッ…
ふと、ニカが俺の腕を掴んできた。
「っ…どうしたんだ」
「…今から会うのは…私の母親なのだろう?」
「ああそうだが」
ニカは掴む力を強めた。
「…母親ってどういうものなのだろうな」
「っ!」
そういえばニカはーーー
物心ついてから母親に会ったことはないんだったな…
「…大丈夫だ、そんなに心配するものでもない」
「っ…心配はしてない」
「…強がるな」
「強がってもないっ!」
「…分かった分かった」


