ーーー十分力を蓄えたところで、俺たちはハカゼの家を出ることにした。




「本当にいいのか、ミラ」



「はい」




俺は滞在中、ミラに何度もハカゼの家に住まわせてもらうことを提案したが、彼女はそれを断固として拒否した。




「あなたの役に立ちたいのです…!」



「っ…だが」



「私はあなたについて行きます」



「…っ」




俺は頭を抱えた。




しかしまあ、こんなにも断られてしまうのならーーー仕方がない。





「じゃあ…一緒に来い」



「はいっ…!」




ミラは嬉しそうだった。




「ふっ…」




本当にミラは天使みたいだと思った。




ひたむきで優しくて、歌を歌うように話すその姿はーーー



時々俺の心を弾ませた。







ーーー正直、ミラがついてきてくれることを嬉しく思っていた自分がいた。




そばにいてくれるだけで心が穏やかになるーーー。





今まで感じたことのないこの気持ちはーーー



一体なんなのだろうか。