ーーーと、その時だった。
「…ふふっ」
「「っ!?」」
ふとミラが微笑んだため、俺とニカは同時に顔を向けた。
「んふふふ…あははっ…」
どうやらミラは、腹を抱えて笑っているらしい。
俺はしばらく黙ってその様子を伺っていた。
そんなに面白いことをしたかーーー?
「ーーー親子みたいですね。
羨ましいです」
「っ!!」
ふと聞こえてきたミラの声に、俺は目を丸くした。
親子…?
俺とーーーニカがか?
「どこをどう見たら親子になるのだ!」
相変わらずニカはすぐさま口答えをした。
俺もこれには口答えをしたい気分だった。
俺とニカ、どこをどうみれば親子になるのか全く分からないーーー。
「ーーー仲良しだからですよ」
「っ…」
仲良し、か……
ミラはまた「ふふっ」と笑って見せた。
「……」
ニカはふてくされると、俺のそばから離れていった。
そして、すぐそばに置いてあった荷物を背負う。
「こいつが親なんてまっぴらごめんだ。
ーーーはやく出発するぞ」
ニカはそう呟くと、一人で歩き始めてしまった。
「おいニカ!…ったく」
このクソガキはいつもそうだ。
わがままですぐにキレる。
ーーーだが…
『親子みたいですね』
先ほどのミラの言葉に、悪い感じはしていなかった。


