「はは、そなたの仕草で分かった。
私の顔を全く見ないものだからな…」
主人はそう言うと、俺にゆっくりと近づいてきた。
そして目の前で立ち止まる。
「そなた、年はいくつだ」
「…っ…28だ」
「ほほう、28か…」
主人はまたもや笑みを浮かべた。
「生きていればの話だが、私にもそのくらいになる息子がいた。
ーーー盲目だったよ。
だがな、跡取りを探していた故、私は妻ごとその息子を追い出してしまった。
使えないと思ってなぁ…ははっ…」
「っ!!!」
俺は顔を上げて、主人の声をよく聞いた。
低い地響きのような声ーーー。
『殺してやる…!!!』
「あ……」
まさかかと思った。
今聞いている声はーーー
あの時の罵声と全く同じものだった。
こいつは…
俺のーーー
父親だ。
「盲目でもお前のような立派な男に育つものなのだな。
今更ながらに後悔したよ…
追い出してしまったことを」
「ふっ」とまたもや笑み浮かべると、主人は俺から背を向けて離れていった。
「まあ、今更後悔したところで遅いのは分かっている」
主人はゆっくりと椅子に腰かけた。
「もうきっと、妻も息子も生きていないのだからな」
「っ!!!」


