茉菜へ



茉菜がこの手紙を読んでいるとき、

俺は本当に、茉菜の前から消えてしまったんだな。


そんな日が来るということ、

今はまだ、現実だなんて思いたくない。

そんなこと、考えたくもない。


でも、その日が来てしまう前に、

その日が来てしまったときのために、

俺が茉菜に伝えたいことを、この手紙に書いておこうと思う。



茉菜、俺達が出会って、もう17年が過ぎた。

生まれてすぐから、物心がつく前から一緒で、

一日一日、一緒に大きくなって、成長してきた。


物心がつけば、もう、

俺は茉菜のことが好きになってた。


いつも俺の隣で、俺のことを気遣ってくれた優しい茉菜。

病気で、みんなと同じことができない俺を、辛い日々から守ってくれた茉菜。

俺が発作を起こすたびに泣いてしまう、心の繊細な茉菜。


そんな茉菜が、俺は大好きだった。


体の弱い俺だけど、

茉菜のことは、絶対俺が守るんだって、ずっとそう思ってた。



そんな茉菜を残して、アメリカに行ってしまったこと。

今でもずっと、それだけは後悔してるんだ。