もう君がいない



「美雪ちゃん、」

「う、ん、?」


もう、美雪の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。

涙を拭うことさえできないようだった。



「美雪ちゃんも、今まで本当にありがとう。小学生の時も、アメリカから戻ってからも。」


蓮がそう言うと、美雪は首をブンブンと横に振った。


「美雪ちゃんが、いつも陰で支えてくれたから、俺も茉菜も、いつも心強かった。」

「そんなことないよ、」

「美雪ちゃんがいたから、俺と茉菜は、たくさんの人の輪に入っていけたんだ。」



ほんとにそうだね、蓮。


私と蓮は、いつも一緒だったけど、

蓮がみんなと同じように遊ぶことができないから、大勢の輪からは外れがちだった。


いつも二人で、みんなと距離を取る私達に、初めて近づいてきてくれたのが美雪で、

全てを知った美雪は、私達と周りのみんなとの、架け橋になってくれたんだ。


保育園の頃、二人でしかいなかった私達は、

小学生になって、初めてお互い以外の友達ができたの。



「美雪ちゃんに、お願いがあるんだ。」

「なに?」

「一つは、公貴と拓弥にも今までありがとうって伝えてほしいのと、」


そこまで言って、蓮は一度私を見た。

そして、また美雪を見て言った。



「茉菜のこと、よろしくね。俺がいなくなった後、茉菜のこと支えてやって。」

「わかってる。大丈夫だよ。」


美雪がそう答えると、安心したように笑った。