パタン、、。


ドアが静かに閉められた。


俺は、そっと目を開ける。

俺の左手には、いままで包まれていた、茉菜の温もりが残っていた。


その温もりが逃げてしまわぬように、

その温もりを少しでもとどめておきたくて、

俺は、左手をぎゅっと握りしめた。



「うぅっ、、蓮、、蓮、、」

泣きながら、何度も茉菜がささやいた俺の名前。


そして、、


「蓮、、好きだよ、、」

確かに聞こえた、茉菜の気持ち。


それは、俺がずっと欲しかった言葉。

俺が、ずっと茉菜に伝えたかった言葉。

何度も何度も、、

心の中でそっと呟いた言葉。


小さい頃からずっと、、

あの頃からずっと、、

胸に秘めていた、その言葉。


”好き”、、

たった一言、たった二文字の、その言葉だった。