もう君がいない



茉菜はあの頃、あまり俺に話してくれなかったから、高梨によく聞いてた。

茉菜の好きなやつについて。


高梨がいつも口にしていたその名前で、茉菜の好きなやつが蓮というやつだと知ったんだ。


その名前が、、

その名前のやつが、いま目の前に立っていた。



俺は、すぐに茉菜の方を見た。


そして、確信した。


やっぱり、、


やっぱりこいつが、あの蓮だってこと。

やっぱりこいつが、茉菜がずっと帰りを待っていた初恋の相手だってこと。


茉菜の顔を見れば、

こいつのことを見るその目を見れば、

そんなこと、すぐにわかった。



そしてその瞬間、こうも思った、、

”やばい。また茉菜がこいつに取られる。” って。


本能的に、感じたんだと思う。


そんな風に思いたくもないし、そんなこと考えたくもなかったけど、

でも、一瞬にしてその焦りが頭に浮かんだんだ。


そして、日を増すごとに、、

その考えは、本当のことになっていった。