「え?傘がないの?」
「うん。ここに置いたはずなんだけど。」
置いたはずのところ以外も、一応探してみたけど、私の傘はなかった。
「もしかして、誰か持って行っちゃったんじゃない?朝はほとんど降ってなかったから、持ってきてなかったのかも。」
「えぇ〜、あれお気に入りの傘だったのに〜。」
「最悪だね。どうする?私、彼氏が傘持ってきてないって言うから、今から彼氏の高校に迎えに行くんだよね。」
「そうなの?ん〜、どうしよう。」
美雪と二人で途方に暮れてると、
「茉菜?どうした?」
光貴がこっちに歩いて来てた。
「なんか傘がなくなっちゃってて、どうしようかなって。」
「傘?俺の使っていいよ。」
「え、でも光貴は?部活のあと、まだ降ってるかもだよ。」
「いいよ。どうにかなる。」
「でも、」
そう話していたら、
「俺のに入ってく?」
「えっ?」
いつの間にか、蓮がそばにいた。