栞菜の野郎め……
ぜっったいゆるさない。
半泣きの状態で廊下にしゃがんでいると、
「どうしたの?もうすぐ時間だよ?」
知らない男子に声をかけられた。
……眩しい。
金髪に近い明るい茶髪で髪の毛はワックスを使ってちゃんとセットしてある。
この状態じゃ片耳しか見えないけどピアスも2つ開けており、いかにもチャラそう。
けど顔は全然文句言えないくらい整っている。
比べちゃ悪いけど私的には凪くん海くんの方がかっこいいと思うけど…
て、そんなこと思ってる場合じゃない。
「えっと、今教室戻りにくくて…。
全然構わないで行ってくれていいから。」
「このクラスの前にいるってことは2組だよね?俺も同じだからそのまま行こうぜーい。」
そう言われて彼は教室のドアを開けて入った。
「ほら、はーやーくー。」
入ってこない私に気づいて、振り返り駄々をこねるように呼ばれた。
はぁ、もういいや。
行くっきゃない。
ガラガラ
ドアを閉めて教室を見渡すと、先生は来ていないがみんな机についており、視線が一気に集まってきた。
「莉央ごめんよぉーーーー。」
私が入ってきたことに気がついた栞菜が小走りで側にきた。
「はいはい。もういいよ。
じゃあ席に着こ?」
これだけでイライラしててもしょうがない。
まだ視線を感じて顔が赤くなりそうなのを堪えて指定された席に向かう。
